
北欧家具の映えるチャーミングな空間
木本梨絵さんのInstagramで目に留まった、アルヴァ・アアルトの自邸を豊富とさせる、北欧家具の映えるチャーミングな空間。ここは一体何処だろうと確かめてみると、鳥取県のAirbnbの宿でした。価格も良心的で、ホストの温かいおもてなしが好評とのこと。ぜひ機会を作って訪れてみたいと思っていました。
チェックインとゲストルーム
夜ご飯は海鮮料理店「海」で、名物のモサエビ丼を平らげ、辺りが暗くなってきた19時頃にflat.maetaに着きました。宿に近づくとホストの淳さんとよしこさんご夫婦が明かりを揺らしながら「ここですよ」の合図をしてくれています。「さぁ、どうぞ中へ入ってくださいね。」と案内してもらい、淳さんとよしこさんたちも利用する共通のリビングルームを紹介してもらった後、ゲストルームへ。室内を複数のルイスポールセンの照明が優しく照らし、

本棚には、建築関係の本がズラリと並んでいます。アルヴァ・アアルトや安藤忠雄さん、中村好文さん、堀部安嗣さんなど国内外の名建築家たちの名前が並びます。

お風呂の壁面は撥水加工された木材で囲まれ、灯りがぽっとともる、心安らぐ空間です。ホストの淳さんがゲストルームの水場掃除を担当しているそうで、壁を綺麗に保つために換気扇をほぼ1日中回し、壁の水滴も拭き上げているとのこと。ホテル以上の贅沢空間で、今夜は長風呂になりそうです。

椿の花を切り取る、ピクチャーウィンドウ
広々としたセミダブルベッドのおかげでよく眠れました。ベッドから起きると窓に目が止まり、溢れんばかりの椿の花が咲きほこっているではありませんか。


メインベッドルームの奥にはもう一部屋あり、シングルベッドが2台と机があります。窓から見える緑、小窓の木の設えが印象的です。

心地さの鍵は、中と外のつながり
滞在中、淳さんと建築話に花を咲かせました。現在は引退されましたが、淳さんは東京で経験を積んだ後地元鳥取に戻り、建築家として様々な住宅を手がけらました。どんな素材や建具を使うかも大切だけど、家づくりのゴールは心地よいと感じる空間を作ること。ではどんな空間が心地よいと感じるのか?それは、中と外が上手く繋がっている家ではないかと淳さんは言います。例えば、テラスで使う素材を窓の内側から使って自然な繋がりを出すこと、周囲に広がる美しい景色を家の中に取り込むピクチャーウィンドウが、中と外をつなげる仕掛けです。


図面を書くのと家を作るのは、違う
建築家は図面を書いたら、仕事になる。自分の家も図面だけ書いて大工さんに任せることはできるけど、自分の家は自分で作ってみたいと思い、子ども時代に家業を手伝う中で身につけたセメント技術で、2年ほどかけて家を作ったとのこと。「建築家が2Dで見ているところを大工さんは3Dで見ていて、見えいてる景色の違い実感したし、図面が甘いところがあれば、雨漏りがした。」何かが良くなければ、結果が自分に降りかかる。自分の至らなさを身をもって学ぶ経験になったと、ユーモアたっぷりに語ってくださいました。
最初からこうだった訳じゃない
flat.maetaの顔となっているアイコニックなリビングルームは、最初は収納がなく、住みながら物の量を把握し、徐々に作っていったとのこと。「最初は荷物で溢れていたよ。」と淳さんは笑います。また、長い窓を一枚のガラスで作ってしまい、全開するか閉めるしかなく、ダウンコートを来て食事をしたこともあったと懐かしそうに語ります。SNSやインテリア本には、ため息の出るような家が溢れていて「早く、良いものが欲しい」と思ってしまいがちですが、素敵な家も試行錯誤しながら長い年月をかけて作られたのだと思うと、地道に頑張ればよいのだと余計な力を抜くことができます。
子どもが大きくなった後の松江での暮らし
お子さんが大きくなった後、淳さんは憧れであった島根県松江で短期間生活を始めます。「田舎もんからすると、城下町の松江は憧れだったんだよね。」「この人は自由だから。」とよしこさんは笑います。よしこさんのサポートが多分にあったことが想像できます。松江で仕事を探し始めると、松江建築界のボスにハンティングされ、ボスの会社で務めることに。コンペで受賞したり、歴史と文化のまち故に、市役所の保存に関わったり、充実した日々を過ごされたようです。私もお気に入りのまちで働きながら暮らしてみたいなぁと憧れを感じるエピソードでした。
今度は夏に
夏はテラスでバーベキューを楽しむ方もいるそうで、今度は夏に訪れてみたいと思います。お二人とさよならのハグをして、車が発進すると、遠く見えなくなるまで淳さんとよしこさんが手を振ってくれていました。


※2025年4月上旬に訪れた内容を記事にしています。
flat.maeta
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