SAMNICON(長野)
2025.12.05

SAMNICON(長野)

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秋真っ盛りの御代田へ

紅葉に染まる、11月の長野県御代田。友人の計らいで、軽井沢からほど近い距離にある御代田エリアのアーティストのお家に泊まらせてもらうことに。ヒンメリアーティストのかなえさんが是非とも連れて行きたい所があるからと紹介してくれたのがここ、「SAMNICON」でした。蔵前の日用品店「SyuRo」が開く、新しいギャラリーに胸を躍らせながら訪れました。

自然に囲まれたギャラリー

森の中を歩いているようなアプローチを抜けると、ギャラリーが見えてきました。宇南山さんと、パートナーである松岡さんが暮らす自宅、そしてギャラリー「SAMNICON」があります。どちらの建物も、宇南山さんと松岡さんの2人で設計プランを立てたのだそうです。ギャラリーには、松岡さんがデザインした家具が配置され、宇南山さんがデザインまたはセレクトした日用品が並びます。

旅でふと出会う器

訪れた時にはちょうど「小野鯛」さんの器が展示されていました。床にはアートピースのような存在感の炭鉄の壺が、カウンターの上には代表作であるという炭化粧シリーズが並んでいます。カウンターの黒い天板に映える、光の具合によってグレーとも水色とも見える炭化粧シリーズにはっとし、小さなカップを購入しました。小鉢にも、飲み物を入れにもなるサイズ感が使い勝手がよく、大活躍しています。私は、斑点模様の入った器が好きで、旅先やふと入ったお店で心惹かれて少しずつ集まってきています。いつも心惹かれるのがそういう柄だった、というのが正しいのですが。旅先で名前も知らなかった作家さんの、自分好みの器に出会う瞬間はセレンディピティ的な嬉しさがあります。

良いものをキャッチできるには、自分の心の静けさや余白も大事
「小さいカップでちびちび飲むのが好き。」という宇南山さんの言葉に押されて購入。結果、大活躍中!

ギャラリーと自宅を繋ぐ、半野外のポーチ

ギャラリーと自宅を繋ぐ空間は、風が通り抜ける半野外になっていて、松岡さんがデザインした家具がゆったりと配置されています。快適な室内空間があるのはもちろん大切ですが、外と繋がる自然の揺らぎを受ける空間があると、建物がぐっと豊かになるなと思います。ただものを売るだけでなく、周りの空気も含めて買ってもらいたい、そんな思いのある宇南山さんにとって、この空間が持つ「豊かな生活への提案」へと誘う力はとても大きいのではと思います。

松岡さんの机は高さが低く、しっかりと地に足がつく感じが落ち着きます。座面の革がこっくりと育ち綺麗です
前方に広がる空間は、お二人がカラマツの木を切り拓き、川を作ってできた風景
松本のカゴアミドリさんが御代田でPOPUP販売された時に購入したという、スペイン・ロバの藁飾り
組み合わせが美しい真鍮の取手と木のドア

御代田はアーティストの街

それまで縁がなかった土地にふとした偶然で出会って暮らし始めた宇南山さんと松岡さん。土地を購入すると、実は思いのほかデザイナーなどの知り合いがたくさん住んでいたことが分かって驚かれたそう。不動産屋さんにも聞いて調べてみたら、この辺りのエリアは今から60年ほど前に写真家やデザイナー、アートディレクターなど、クリエイターの人たちが移り住んで開拓した土地だと分かったそうです。「ああ、私たちはこの土地に呼ばれたんだな」と思ったそうです。今回、私もヒンメリアーティストのかなえさんに「自分の感性を信じて進む」新しい道への決断の中で連れてきてもらい、魅力的なクリエイターの方々と出会い、その精神性に少しでも触れられたことは、何かのご縁のように感じています。

次世代へ繋がる、循環型の暮らし

子育てをしながら、「自分のエネルギーが次世代に残せるようなことや、循環になるようなことに注げているんだろうか」と悶々としてた宇南山さん。この土地のクリエイターの精神を引き継いで次世代に渡していくだけでなく、バイオジオフィルターの川作りを行うなど、循環型の暮らしも模索されています。川の辺りに茂っているクレソンをいただきましたが、シャキシャキとして美味しく、川が流れついた先にある溜池には小魚が泳いでいました。SAMNICON には、人生が深まって与えられる側から与える側に立った、宇南山さんと松岡さんが描く、豊かな暮らしがありました。

自宅室内からフラットに続く、テラス

SAMNICON

 御代田は、軽井沢からしなの鉄道で15分のエリアです。SAMNICON (サムニコン)は、禅の言葉を由来とする造語。日々の暮らしの一瞬一瞬を慈しむことによって、五感が養われ、思いやりや優しさが育まれる祈りが込められています。営業日はインスタグラムをご確認ください。
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