10cm(長野)
2022.03.30

10cm(長野)

Shop guide

憧れのお店

10cmとは、木工作家・三谷龍二さんの松本にあるお店です。三谷さんの作品はもちろんのこと、三谷さんのお眼鏡に適った作家さんの器やコーヒー豆や茶葉などの食料品も購入することができます。菊池亜希子さんの、写真とエッセイで綴られた「またたび」という旅本で知ってからずっと行ってみたいと思っていました。昨年、松本に行った際に寄ってみるとまさかの臨時休業。行けなかったことも相まって、ますます行きたい思いは募っていました。

店名の由来は

予習はばっちりなので、すいすいとお店に向かって歩き始めました。すると見えてきました、元タバコ屋さんを改装した可愛らしいお店が。店内の改装は私の大好きな建築家・中村好文さんが行っています。左端のほうに、10cmと書かれた控えめな看板があります。実はこの店名は偶然から名づけられたのだとか。

古い建物を生かした外観と内装は、良い意味でギャップがあります。

三谷さんが、たまたまアンティークショップで「10cm」とくり抜かれたステンレス板を見つけました。その当時、お店のことは具体的に考えていなかったそうですが、店をもつならこんな名前がいいな…とふと思われたそうです。そんなひょんな出会いから、三谷さんのお店の名は10センチになりました。

祭壇のような空間に、店名の由来になったステンシル版が。

毎日使いたくなる、日用品

三谷さんの作品はネットを通して、いろいろなものを見たことがありました。二股に分かれたフォークが和菓子にも洋菓子にも使えそうでいいなと思っていて、お店にあったので迷わず購入しました。

実際に使ってみると、食べ物を口に運ぶ際、口に触れるとすべすべして気持ちよく、気づけばこのフォークを選んでいます。以前、軽井沢の雑貨屋さんで買った木のスプーン(三谷さんのではありません)も、サイズ感や手触りがよく、使用頻度が高いです。毎日の生活に寄り添うものというのは、さりげない佇まいで一見目立たないけれど、使い心地や肌触りがよく、気づいたら手にとってしまうものなのだろうと思います。

4歳の息子は食べ終わってもフォークを口に含んでいます。それほど口に入れた感覚がよいのでしょう。

きっと三谷さんは、店名の10センチという単位のように、生活にそっと寄り添う働きものが好きなんだろうな、そんな風に思いました。お店には、地元の方と思われる人たちが、挨拶がてら少し会話をしては、出て行きました。10センチは、地元の方の生活にも溶け込み、心地よさをあたえているのでしょう。

子ども用の椅子から学ぶこと

入り口で、お客様を迎える可愛らしい二脚の椅子は、子ども用です。それぞれ、背もたれのデザインが異なります。息子がちょこんと座るととても可愛く、店を訪ねてから買うか買うまいかずっと迷っています。丁寧に作られた家具にはその場の空気を変える力があり、豊かな気持ちになります。

この写真を見返してはいいなと眺めています。小さいので、ピクニックに持っていくのも良さそうです。

小さくなれば、大人が靴紐を結ぶ時の椅子として使えるくらい丈夫なようですし、椅子はちょっとした荷物置きや飾り棚になるので、長く使うことができます。WEBサイトのメッセージにもあるように、子どもにもいいもの(無垢の木の良さ)を知ってほしい、ひとの物語が刻まれてゆく家具のあり方を知ってほしい、そんな強い思いを感じます。受注生産で制作には3-6ヶ月かかるようなので、一度問い合わせてみようと思います。

10cm

詳しくはこちら
営業日は金・土・日・祝日です。催しもの等で臨時休業がありますので、訪問前はWEBサイトのご確認をおすすめします。

おまけのご飯情報

ランチはこちらでと決めていた、フランス惣菜「Le Nid(ルニ)」へ。ハムとグリュイエールチーズのバケットと、根菜のマリネを買い、街の中心を流れる女鳥羽側のほとりでいただきました。シンプルな具材のバケットは、チーズの塩味とハムの旨味、さくっとしたバケットのオールバランスが良く、とても美味しかったです。あまりに美味しく、帰りの電車用に、違うお惣菜とともに購入しました。

小さな店内のショーケースにはお惣菜がきゅっと並んでいます。近くにあると嬉しいなと思います。

その他の記事