和食を楽しむ旅
11月の上旬、大切な友達と秋の金沢へ2泊3日の旅行に行ってきました。最初からこのテーマがあったわけではないのですが、振り返ると小料理屋での昼食に始まり、割烹での夜ご飯、ほうじ茶専門店でお茶と和菓子のペアリングなど、結果的に「和食を楽しむ旅」がしっくりくる旅の内容となりました。
サンダーバードが動かない!?
私は東京から、友人は関西からということで金沢駅で落ち合う予定でした。8時間すぎ、北陸新幹線「かがやき」に乗ったころ、友人から電話がありました。「サンダーバードが止まっていて現時点では再開の目処がたっていない」とのこと。そんなことある!?とお互い思いながら、一番濃厚な昼すぎに落ち合うパターンを想定して、ひとまず連絡を終えました。せっかくの4時間。「お昼ごはんにおいしい和食を食べて、温泉に入りたい」その小さな野心を叶えるべくリサーチを始めました。
小粋な日本料理屋
探しはじめてすぐに、ここは!というお店を発見しました。旬の野菜や魚の小鉢が楽しめる小料理屋「日々魚数寄 東木」です。予約もできるようですが、当日なのでオープ前にお店に行ってみて、入れるか入れないかの賭けです。5分前にお店に着き、店前を手際よく掃き掃除する店員さんに「お一人ですか?」と声をかけられ、はいと返事をしました。どうやら入れるようです。お刺身付きか無しかを伝え、少しだけ開店時間を待ちました。
板前さんのおいしいリズム
一番奥のカウンターに通してもらうと、荷物を置くための椅子も用意されていていました。小旅行ともあり、大きなトートバッグを抱えていたので用意してくださったようです。こうした気遣いに、料理を楽しむ気持ちが整います。カウンターからは台所がよく見え、右の壁には包丁が数本、木棚に規則正しく飾られています。板前さんは左右に体を揺らしながら、具材を切り、お味噌汁の出汁に先ほどの具材を入れて温めています。それから土鍋で炊かれたご飯を台の上へ移し、かき混ぜます。ご飯の湯気がふわりと立ち上ります。板前さんのボクサーのように、振り子のように、左右に体を揺らすその動きが、仕事のリズム、おいしい料理を作るリズムなんだろうな、そう感じました。料理をつくる香り、音、リズムが感じられるカウンター席は間違いなく特等席でした。
11種類の料理がずらり
ご飯とお味噌汁を中心に、おぼろ豆腐やブリ大根、めざしに、南蛮の小鉢など、少しずつたくさんの料理を食べることができて、満足感があります。さらには時間差で、揚げたての海老の天ぷらと出し巻き卵もでてきました。お刺身を追加すると全12種類!
細やかな心配りも料理のひとつ
私がお豆腐をお箸で食べようとすると、板前さんが「スプーンも付いてますのでよろしければお使いください」と控えめに一言。口に入れた瞬間「あ、スプーンあった。」と思ったのと同時に、一声かけられ、思わずニンマリ。数十種類もの、ご飯が進むおかずの数々。ご飯が底をつくころ「おかわりいかがですか?」と声をかけてくださり、迷わず「お願いします」と返事をしました。おかわりが欲しいけど、目が合わなくて、声をかけるタイミングが難しいこともある中、すごくよく見てくださっていると感心しました。お味噌汁なんて、その都度人数分を作ってくださるので、いつもあたたか、適温で出されます。美味しい料理のお店でも、店員さんの対応がルール一辺倒だったり、いちいち伝えないと欲しいものが出てこない、目さえ合わないだと、料理を楽しみたい気持ちもしょんぼりしてしまうものです。東木さんは、細やかな心くばりであふれていました。
ちなみに、温泉は金沢駅近くのアパホテルへ。宿泊客以外でも利用できるよう、バスタオルの貸出もあり、急遽時間ができたときにかなり使えそうです。
最後に、朝ごはんも食べに行ったので写真と共に少しご紹介します。
日々魚数寄 東木
金沢駅から徒歩5.6分と駅チカなのも嬉しいポイント。朝ごはん、お昼ごはん共に要予約です。(夜も営業しています)