必ず訪れたいリストにあった場所
柳宗理は、当サイトの名称「用の美」を提唱した柳宗悦の長男であり、戦後の日本を代表するインダストリアル・デザイナーです。世界デザイン会議やオリンピックデザインにも参加していました。そんな柳宗理がデザインしたプロダクトが見れる場所となると行かない手はありません。石川(金沢)に行く用があれば、必ず訪れたいと思っていました。
ひがし茶屋街の近くに
金沢といえば、ほとんどの方が思い浮かべるであろう、ひがし茶屋街。そこから10分ほどの距離に柳宗理デザイン研究所があります。入り口には下記パンフレットと同じ柳宗理の写真が大きく飾られています。その写真を見るなり「パッと開けた、いいお顔をされているなぁ。面白そうな方。」そう感じました。
なぜ金沢に柳宗理の施設が?
柳宗理は、約50年間にわたり金沢美術工芸大学で教鞭をとっていました。その縁から、作品をはじめとするデザイン関連資料が大学に寄託されました。これが契機となり、大学付属施設として本研究所が設立されました。大学関連施設とあり、入館料が無料なところも嬉しいポイントのひとつです。柳宗理が教鞭をとっていた頃の写真が飾られており、当日の様子を垣間見ることができます。
柳宗理プロダクトの宝庫
展示を見ていくなり、初めに目に飛び込んできたのは、ラタンでできた鳥かごと、モノクロの扉が印象的なキャビネットです。キャビネットの大きな体を支える、短い脚がなんとも愛らしいです。日光の入り方も素晴らしく、思わず写真に収めました。こちらの展示場は、直にモノを見、触れてモノと対話してほしいという思いから、キャプションや説明文は用意されていません。
ドレッサー言えば、机に三面鏡が接合されているものを想像しますが、引き出しのないすっきりとした机に、上半身が見える高さに取り付けられた曲木の鏡。品格を感じる佇まいにこんなドレッサーの在り方もあるのだと、やけに感心してしまいました。机の名前は勉強机ですが、使い方は自由です。
鳥かごの横にあった、キャビネットの小さいサイズがこちら。カラーリングも異なります。隠す部分と見せる部分が混在しているところが、余計なものは見せたくない気持ちと、好きなものは見せたい気持ちを両方受け止めてくれて使いやすそうです。
机の上に置かれた食器類。島根県の「出西窯」で作られたお椀やお皿の焼き物は、モノクロながらもどこか素朴な温かみがあります。
柳宗理のデザイン
デザインされているがゆえに、余計な装飾は無いのですが、だからといって味気なさもない。体の求めと精神の求め両方を満たしてくれるような「使いやすさ」が良いデザイン、「柳宗理のデザイン」だと感じた展示でした。
展示場に説明文はありませんが、このパンフレットにプロダクト名とメーカーが記されています。展示資料のイラストが緻密でかわいらしいので是非手に取ってみてください。
柳宗理記念デザイン研究所
休館日は毎週月曜日(ただし月曜が祝日のときは開所)