百姓屋敷じろえむ(千葉)
2025.12.10

百姓屋敷じろえむ(千葉)

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空気が違う、茅葺屋根の門

母の提案で訪れた南房総市にある、平飼い養鶏農家が営む百姓レストラン。車を停めて、レストランに向って歩き出すと聳え立つ立派な茅葺屋根の門。歴史の厚みを体全身に感じる、圧倒的な存在感です。

郷愁にかられる、田舎の立派な家

茅葺門をくぐりぬけて、母屋に入ると、畳の広間には客席が数席あり、本棚には古い書物が並び、中央には立派なお仏壇があります。小さい頃、祖母と訪れた田舎の家を思い出し、郷愁にかられます。もし私が田舎の家の風景知らなかったとしても、日本人のDNAがこの場所を懐かしい感じさせるのではとも思います。予約時に「お任せ御膳」をオーダーしているので、卵好きとしては、どんなご飯が出てくるのだろうと期待が膨らみます。

ふわふわ卵と、主役級のお漬物

席につくと15代目のお嫁さんが、赤ちゃんを背負いながら持ってきてくれたおひつには、ツヤツヤのご飯が入っています。その時に、卵の味付け(甘めか塩味か)と、焼き加減を確認してくれます。しばらくすると、ふわふわの卵と、俊の有機野菜を使った副菜、お漬物か並んだ御膳が運ばれてきました。一見地味に見えるかもしれませんが、食べるとその豊かさに気づきます。鶏舎の中で自由に動き回り、こだわりの餌を食べている新鮮な卵の美味しさはもちろんのこと、しょっぱい、甘い、辛い、様々な味わいのお漬物が美味しく、自然とお箸が進みます。小学生の息子はお米が美味しいとおかわり。5人でおひつが空になり、追加してもらいました。

先々代から伝わるお漬物。特になすの辛子和えはご飯泥棒!作り方を知りたいです
デザートの甘酒アイスと小豆
子供用の御膳にはハンバーグとウィンナーも

こうやって伝統は守られていく

写真の赤いトップスを着た方が15代目のあきらさんです。消防士として働かれたのち、26歳の時に農家を継がれました。明治17年に建てられた茅葺き屋根の長屋門は、今年で築140年。20年前に全面を葺き替え、その後は、今年はこの面、次の年はこっちという風に少しづつ補修を続けています。茅葺き屋根の維持には、時間もお金も職人さんの技術も必要で簡単にはいきませんが、人々の関心こそが維持するための動機と語るあきらさん。丹精込めて育てた米や野菜、平飼いの有精卵などを使った料理を提供する、自給率9割を達成したレストランでは、赤ちゃんを背負いながら懸命に働く、あきらさんの奥さんの姿がありました。商いと自宅が一緒だった時代は、子育てをする場所も、働く場所も同じため、子育てと仕事を分けて考えるものでは無かったと気づきます。つまり、子育てがキャリアの断絶には繋がらないことを意味します。こうやって若い人たちの手によって、美しい里山の風景が守られ、豊かで安心な食文化、日本文化が継承されていくんだなとしみじみと感じ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

あきらさんと息子さんと遊んでもらう息子
こだわりのたまごも購入可能。10個入り、500円ほどでした(2025年10月時点)弾力のあるたまごの黄身に感動です

百姓屋敷じろえむ

歴史の厚み、里山の恵みをぜひ堪能してください。営業は昼のみです。息子も親切にしてもらい、クワガタの幼虫など自然と触れ合えて楽しそうでした。
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